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~澄んだ声で歌う~
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「貴方はどんなお仕事を?」
今度は、私が尋ねられる番でした。
ふっと、自分の頬が強張るのを感じながら、しかし努めて明るく
「自然保護計画のスタッフとして働いています」
「おお、それは素晴らしいお仕事だ」
「・・・しかし、色々と難しいです」

つい溜め息を洩らした後で、私は言葉を続けました。

「私はホタル再生プロジェクトの一員なんです。何とか絶滅の危機を回避して、昔の様に──尤も、我々の世代には、片手で数えられる位の数のホタルしか想像がつきませんが──ホタルを増やそうとしているところなんですが」
「それは、さぞご苦労な事でしょう」
「・・・はい。此処の様な自然保護エリアがもっとあれば──もっと、もっと、自然に近い状態での飼育が可能なんですけどね。ですが、自然のままの、土や緑や水を必要としているのは、ウチのチームだけではありませんし。結局、バイオ・センターの研究室に籠りっきりですよ」

やるせない想いが込み上げてきて、私は、きっと口をつぐんでしまいました。
何か話そうとすれば、泣いてしまう様な気持ちでした。

「・・・蛍ですか・・・」
老人は、遠くを見つめる様にしながら言いました。
「最後に蛍を見たのは、何年──どころではないな。何十年前だったか、あれは私が12の時だったから、もう100年以上前の話です」
「何処で・・・?」
「私の子供自分は、まだ、それでも緑が、あちらこちらに残っておりました。私の住んでいた辺りは、殊に田舎の方でしたからねえ。尤も──その時分でも、蛍はもう随分と、減っていたのには違いなかった。夏の夜、ちらほら見られれば良い方だったんです。・・・だから、周りの人間は皆、夢でも見たんだろうと、誰も本気にしてはくれなかったんですがね」
「夢?」

聞き返すと、老人は、如何にも嬉しそうな、子供のままの無邪気な笑顔で

「そう・・・。私はね。何千という蛍の群れを見たんですよ。いや、何万だったのかもしれない。──昼間遊んでいる最中に帽子を落としましてね。気がついたのは、家に帰ってからだったんです。暗くて見つかりっこないからって母親が止めるのも聞かずに、何せ気に入りの物だったものでねえ、探しに行った。ところが、本当に田舎でしたから、草っぱらがまだ結構残っている様な所でね。街灯もろくに無くて、真っ暗で、やっぱり諦めて帰りかけたら──」
「──蛍──?」
「そうです。蛍です。それも、何千、何万の」

彼は何度も頷いて、頬も、幾分紅く染めていました。

「いきなりね。ぱあっと明るくなったんですよ。私は、暫く茫然とそれを眺めておりました。それから、はっと気づいて探したら、すぐさま帽子が見つかりましてね。歓声を上げた時には、もう辺りは暗闇に戻っていました」

私は、何と応えて良いか分からず、唯じっと耳を傾けていました。

老人は再びからからと笑って
「いや、夢だったのかもしれませんなあ。・・・何せ、100年以上前の話ですから、私もはっきりとは断言出来かねるんですが。──ですが、綺麗でした。この世の物とは思えぬ程、そりゃあ美しい光景でした」

何千、何万という蛍の群れ──その光の乱舞を頭に浮かべようとして、しかし私にはそれが出来ませんでした。
何しろ、私は、たった4匹の蛍しか見た事がないのですから・・・。

にも拘わらず、私の心臓は激しい鼓動を打ち、全身が震えてさえいました。

「見てみたいです」
呟く様にそう言うと、老人も深く頷きながら
「ええ。私も、もう一度見てみたいと思っています」

さらさらと風の渡っていく中で、老人と私は、不思議な感動に包まれて、唯じっと並んで座っていました。
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HN:
沙波
年齢:
51
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性別:
女性
誕生日:
1965/07/21
職業:
カード・リーディング・セラピスト
趣味:
映画・舞台鑑賞 美術鑑賞
自己紹介:
アロマセラピー、リフレクソロジーと学び、とりわけスピリチュアル・アロマの奥深さに大きく影響を受けました。
その日、その時、心惹かれる香りは、潜在意識からのメッセージです。

色彩心理やカウンセリングも再度勉強、西洋占星術や四柱推命、紫微斗占術 等と併せ、タロットやオラクル・カードのリーディング・セッションを行っています。

<答え>は、いつも貴方の中に。
迷った時は、カードに尋ねてみませんか?
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